音楽の秋

  どんな音楽を聴くの?と聞かれると、ひとことで答えるのが難しいです。それこそチャンプルというか、いろんなジャンルの音楽を聴いています。が、最近のお気に入りは、グレン・グールドのピアノhttp://www.youtube.com/watch?v=Ae6ctuy-1ic&feature=related、そして佐渡裕さんの指揮される音楽といったところでしょうか。

  佐渡さんは兵庫県立文化芸術センターの芸術監督を設立時から務められていますが、劇場の地元・西宮で商店街や学校、ママさんコーラスや子供たちへの教育にアプローチされてきた姿を見ると都市型地元学、そして都市観光そのものではないか、と思います(ご関心のある方は、井口貢編『観光文化と地元学』古今書院、2011年をご一読下さい)。

  ところで、地元とか地域は、伸縮自在の概念で身近な隣人との交際範囲でもありますが、同時に、国境を超える広い範囲も含意すると私は考えています(と書きつつ、地域は良しとしても、地元という言葉で国境を超えるのは難しいかなぁ…)。その点で、佐渡さんは兵庫をオーケストラの世界的拠点にしようと努力されています。その試みはハイカルチャーの育成、芸術環境の創造でもありますが、むしろ、その核心は芸術に対するパッション、心豊かなまちづくりとそれを支える人づくりのなかにあると見るべきでしょう。

  何よりも、阪神大震災を経て開館した劇場であることを忘れてはなりません。震災からの文化復興の一つのモデルを提示していると思います。というような、能書を並べるのはこの辺で終わりにしましょう(笑)…芸術の秋、音楽の秋です。とにかく素晴らしい劇場ですので、ぜひ訪れて音楽に耳を傾けながら、その場所の雰囲気を感じてみて下さい。